「多種多様なマシンやダンベル種目を細かくやり込まなければ、引き締まった強い身体は作れないのではないか」という疑問を抱く人は少なくありません。しかし運動生理学の観点から見れば、筋トレビッグ3だけで十分な理由は明確に証明されています。その最大の根拠は、複数の関節と巨大な筋群を同時に総動員する「マルチジョイント(多関節)種目」としての圧倒的な運動効率にあります。
人間の身体に存在する筋肉のうち、体積の大部分を占めるのは大腿四頭筋、大臀筋、広背筋、大胸筋、そして脊柱起立筋です。スクワットは下半身全体と体幹を、デッドリフトは背部から臀部・ハムストリングスにわたる身体の後面(ポステリアチェーン)を、ベンチプレスは胸部・肩前部・上腕三頭筋を余すところなく刺激します。つまり、この3種目を網羅するだけで、骨格筋全体の70%以上に強力なメカニカルテンション(力学的負荷)を一気にかけられる設計になっています。
全身の大きな筋群が高重量に対して強く収縮するとき、生体内ではテストステロンや成長ホルモンといった同化ホルモンの分泌が促され、代謝率が急激に跳ね上がります。局所的な筋肉を小さく刺激する単関節種目(アイソレーション種目)に比べ、消費エネルギーの総量も格段に多く、筋トレビッグ3効果は筋肥大のみならず体脂肪の燃焼や基礎代謝の底上げにおいても他を圧倒します。限られた可処分時間の中で肉体を劇的に変化させたい多忙な現代人にとって、BIG3を軸に据えるアプローチは最も合理的かつ費用対効果の高い選択肢です。