物件を見つけ、審査を通過して入居を果たした後も、退去時に思わぬ請求を受けて頭を抱える入居者が後を絶ちません。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常損耗や経年劣化は家賃に含まれると規定されていますが、ペット可物件では賃貸借契約書の特約条項が優先される司法判断が多く見られます。
ペット可賃貸の退去費用と原状回復において争点になりやすいのは、「消毒・消臭費用の全額負担」「爪研ぎ痕に伴うクロス全張り替え費用」「クッションフロアの変色に伴う全面改修」です。一般の退去費用がワンルームで3万〜5万円程度であるのに対し、ペット飼育物件では退去時に20万円〜40万円を超える追加請求が発生する事例も珍しくありません。
ペット可賃貸のネットの反応やSNS上のコミュニティ、知恵袋などの投稿を分析すると、現場の切実な肉声が浮かび上がってきます。
「敷金を2ヶ月分積み増ししたのに、退去時に『特約に基づき償却分とは別にクロス張替費用35万円』と書かれた請求書が届いて震えた」(20代・女性会社員)
「『ペット相談』で入居できたものの、隣人の小型犬が深夜に吠え続け、管理会社に相談しても『お互い様ですから』と取り合ってもらえず精神的に参ってしまった」(30代・男性エンジニア)
こうしたトラブルの背景には、「ペット可だから何をしても許される」と思い込む入居者の油断と、「ペット可だからあらゆる費用を入居者負担に転嫁できる」と考える貸主側の思惑の不一致があります。