大人の学び直しや子どものつまずきを分析すると、分数の割り算で生じる混乱の深層には、小学校1年生から刷り込まれてきた「割り算をすると元の数より小さくなる」という強固な固定観念があります。
「8 ÷ 2 = 4」「15 ÷ 3 = 5」といった整数の割り算の世界では、割った結果(商)は必ず元の数より小さくなりました。ところが、分数の割り算では「2 ÷ 1/3 = 6」のように、割ったはずなのに答えが元の数より増えるという逆転現象が起こります。
ネット上のQ&Aサイトや教育相談でも、「割っているのになぜ増えるのか直感的に受け入れられない」という悩みが多数投稿されています。この認知的葛藤を解消するには、「割る数が1より小さいときは、1つ分の基準が小さくなるため、個数を数えると元の数より増える」という事実を、定規や計量カップなどの具体物で見せてあげることが極めて効果的です。「1リットルのジュースを0.2リットル(1/5リットル)のコップに注げば5杯に増える」という日常の事象と接続することで、脳内の矛盾が氷解します。