「ハーバード大学の偏差値はいくつ?」という問いに対する学術的・制度的な正確な回答は、「制度として存在しない」となります。日本の大学受験は、大学入学共通テストや各大学の個別試験の点数を集計し、受験生全体の分布をもとに算出した偏差値によって合否がほぼ一直線に決定づけられます。しかし、ハーバード大学をはじめとするアイビーリーグ偏差値という概念そのものが、日本の受験産業が生み出したフィクションに過ぎません。
アメリカの名門大学が導入しているのは、「アメリカ大学入試選考基準」の根幹をなす「ホリスティック・レビュー(Holistic Review/全人的一括評価)」と呼ばれる選考方式です。これは出願者を単一のテストスコアで輪切りにするのではなく、以下の要素を総合的に照合して合否を判断するシステムを指します。
進学情報サイトなどで見かけるハーバード大学偏差値換算の「偏差値80〜85」という数値は、日本の駿台全国模試や河合塾全統記述模試において東京大学理科三類(医学部)や京都大学医学部に合格する層の最上位層を仮想的に当てはめた推定値に過ぎません。後述するように、東大理三にトップ合格できる学力を備えていても、ハーバード大学の出願書類審査(書類審査と面接)で一次選考すら通過できない事例は枚挙にいとまがありません。
ハーバード大学入学条件において、学力は「足切りラインを越えているか」を確認する最低限の前提条件に過ぎず、合否の決め手は学力以外の要素に委ねられている点が、日本の受験生が最初に直面する最大のカルチャーショックといえます。