ディスプレイに線が入る現象は、一見するとどれも同じような表示不良に見えますが、採用されている表示パネルの構造(液晶か有機ELか)や線の「色・方向」によって、内部で起きている物理現象は根本から異なります。ハードウェア修理の専門エンジニアへの取材によると、現場に持ち込まれるトラブルの約7割はパネル内部の配線や制御基板の微細な破断に起因しているといいます。
スマートフォンを中心に普及したOLED(有機EL)ディスプレイにおいて、世界的な議論を巻き起こしているのが「有機ELグリーンライン現象の真相」です。画面の端から端まで蛍光ペンのように鮮烈な緑色の縦線が走るこの現象は、落下などの強い衝撃を与えていなくても、OSアップデートに伴う端末の発熱や長年の熱サイクルによって突如発症するケースが報告されています。これは、極小ピクセルへ電流を供給するフレキシブル配線(FPC)と有機ELパネルの接合部が熱膨張と収縮を繰り返すことで剥離し、サブピクセルの緑色回路に過剰な駆動電圧が流れ続けることが主因とされています。
一方、ノートPCや一般的なモニター、大型テレビに広く使われる「液晶ディスプレイ物理故障と寿命」はメカニズムが異なります。液晶はバックライトの光を偏光板と液晶分子でコントロールして映像を作りますが、ガラス基板の縁にある薄膜トランジスタ(TFT)や、信号を伝達するCOF(Chip on Film)と呼ばれる微小フィルムが経年劣化や衝撃で断線すると、特定の行(横線)や列(縦線)への電圧制御が完全に遮断されます。その結果、信号が途絶えた箇所が黒い帯となったり、逆に最大電圧が印加されたまま白色の縦線として固定化したりする現象を引き起こします。