鼻をかんでも出てこず、うがいをしても届かない。このような「鼻の奥の異物感が治らない理由」には、医学的に明確な4つの病態が存在します。
第一に疑われるのが、上咽頭炎の慢性化です。上咽頭は鼻の突き当たり、口蓋垂(のどちんこ)の裏上部に位置し、呼吸で侵入したウイルスや細菌をブロックする免疫器官の役割を果たしています。この部位が慢性的な炎症を起こすと、粘膜が鬱血して腫れ上がり、まさに「何かが常に張り付いている」感覚が固定化します。上咽頭炎の症状と治療においては、微熱や頭痛、倦怠感を伴うことも珍しくありません。
第二の原因は、鼻水が喉へと流れ落ちる後鼻漏(こうびろう)です。通常、鼻腔内の分泌物は1日に約1リットル自然に分泌され、無意識に飲み込まれています。しかし、アレルギー性鼻炎による粘膜の腫れや自律神経の乱れによって分泌液の粘度が異常に高くなると、上咽頭から中咽頭にかけて糊のようにこびりつきます。これが「喉の奥に痰が引っかかって落ちない」不快感の主たる要因です。
第三に、副鼻腔炎(蓄膿症)の存在も見逃せません。顔面の骨の中にある空洞(副鼻腔)に膿が溜まり、自然孔を通じて後方へ濁った鼻汁が持続的に流れ込むことで、鼻の奥の異物感や悪臭、顔面圧迫感を引き起こします。症状が数週間から数か月に及ぶ場合、単なる乾燥や風邪の後遺症ではなく、副鼻腔内の換気不全が固定化している証拠です。