大アルカナが「人生の根本的な転機や宿命的なテーマ」を語るのに対し、小アルカナ56枚は「日々の感情、思考の衝突、具体的な金銭や労働の動き」といった日常の機微を克明に描写します。
小アルカナを構成する4つのスート(マーク)は、古代ギリシャの四大元素(火・水・風・地)と直結しています。
- ワンド(棒/火):直感、情熱、行動力、野心、クリエイティビティ
- カップ(聖杯/水):感情、愛情、人間関係、共感力、無意識の揺らぎ
- ソード(剣/風):知性、論理、決断、言葉、そして過剰な思考が生む苦悩
- ペンタクル(金貨/地):物質的富、労働、身体感覚、現実的成果、安全性
ウエイト版の革新性は、この四大元素と1から10までの数秘術、さらに16枚のコートカード(人物札:ペイジ、ナイト、クイーン、キング)の組み合わせを、生々しい人間ドラマとして描き切った点にあります。
例えば「ソードの3」では、雨雲が垂れ込める空の下、真っ赤な心臓に3本の剣が突き刺さっています。理屈(剣)によって感情(心臓)が深く傷つけられた失恋や裏切りをこれ以上なく直感的に表しています。一方、「ペンタクルの3」では、石造りの教会で彫刻家、設計士、修道士が図面を見合わせながら作業を進めています。これはプロフェッショナル同士の協業と技術の結実を如実に示しています。