スマートフォンの画面に「在庫あり」と表示されているのを確認して店舗へ駆け込んだにもかかわらず、店員に尋ねると「棚に見当たりません」「タッチの差で売り切れました」と告げられ、苦い思いをした読者は少なくありません。ここには、ネットの在庫照会システムとリアル書店の現場における「情報の時間差」という決定的な盲点が存在します。
書店各社が提供するリアルタイム在庫検索は、POSレジの通過データを元に連動しています。つまり、「レジで精算された瞬間」に初めて在庫データが減算される仕組みです。これは裏を返せば、「店内のお客さんが本を手にとって立ち読みしている最中」や「カゴに入れて店内を回っている状態」、さらには「他のお客さんが元の位置とは全く別の棚に置き間違えてしまった状態」であっても、システム上は「在庫あり」として表示され続けることを意味します。
特に発売直後の人気タレント写真集、SNSで大バズりした文芸書、難関資格の改訂版テキストなどは、店頭在庫が残り1〜2冊と表示されている場合、実際にはすでに誰かの手元にあるか、カウンターで他店舗への返送準備・取り置き処理に入っているケースが多々あります。ネット表示が「残りわずか」「1冊」となっている場合は、移動を始める前に店舗へ電話を入れ、実物を手作業で棚から確保してもらう「電話取り置き依頼」を行うのが、最も確実で失敗しないプロの自衛策です。