桃の食感を巡っては、都市部の消費者と生産地の地元住民との間に驚くほど大きな認識の乖離が存在します。首都圏のスーパーで桃を購入する消費者の多くは、「皮が手でツルンと剥け、果汁が溢れてとろけるような柔らかい桃」を完熟の基準とみなしています。
しかし、山梨県や福島県の産地農家や地元住民に話を聞くと、「硬い桃をリンゴのように皮ごとサクサク・カリカリ食べるのが最も美味い」という声が多数を占めます。実際にSNSや地域の直売所でも「硬い桃の美味しさを知ってから柔らかい桃には戻れない」という熱狂的なファン層が年々拡大しています。
この食感の違いは品種と収穫タイミングに起因します。日川白鳳などの品種は追熟すると短時間で柔らかくなりますが、川中島白桃や一部の硬質系黄桃は、収穫直後はしっかりとした歯ごたえを保ちます。硬い食感が好きな人は「川中島白桃」や収穫間もない黄桃を選び、柔らかい食感を求める人は白鳳系を選ぶか、常温で2〜3日置いて果頂部(お尻の反対側)に弾力が出るまで追熟させるのが正解です。