ネット上の不動産掲示板やSNSでは、「人口減少時代において、郊外のベッドタウンはすべて資産価値がゼロになる」という極端な言説が散見されます。しかし、これは実態を見誤った乱暴な誤解です。
現実に起きているのは「郊外の一律下落」ではなく、「生活拠点都市への集中」と「それ以外のスポンジ化」という局所的な二極化です。国土交通省が推進する「立地適正化計画」に基づき、各自治体は医療・商業・行政機能を駅周辺の「都市機能誘導区域」や「居住誘導区域」に集約しています。この区域内に位置し、都心直通の急行停車駅から徒歩10分圏内にある物件であれば、ベッドタウンであってもリセールバリューは極めて堅調に推移しています。
逆に、ネットの口コミを鵜呑みにして失敗しがちな典型的な盲点が以下の2点です。
第1の盲点は「教育と課外活動の選択肢」です。「自然が豊かで空気がきれいだから子育てに最適」という理由だけで郊外を選んだものの、子どもが中学生・高校生になった段階で、通いたい進学校や大学附属校、ハイレベルな学習塾がすべて都心部に集中している現実に直面します。毎日の遠距離通学や夜遅い送迎に親子ともども疲弊し、「子どもの教育フェーズを考えていなかった」と後悔するケースが非常に多いのです。
第2の盲点は「自治体の財政体力とインフラ維持コスト」です。住民の多くが高齢化し、固定資産税や住民税の税収が激減した自治体では、老朽化した道路や上下水道の改修、小中学校の統廃合、コミュニティバスの廃止といった公共サービスの切り捨てが急速に進みます。街を選ぶ際は、現在の駅前の賑わいだけでなく、自治体の「財政力指数」や「将来の生産年齢人口推計」を必ずチェックしなければなりません。