危険性が叫ばれながらも母乳購入に手を出してしまう背景には、母親たちが抱える深い苦悩と孤立があります。母乳購入の理由を紐解くと、主に次のような要因が浮かび上がってきます。
もっとも多いのは、産後に十分な母乳が出ないことに対する強い焦燥感です。「母乳で育てなければ良い母親ではない」という周囲からの無理解な言葉や、いわゆる完全母乳神話の重圧に追い詰められ、誰にも相談できずにネットで購入してしまうケースが目立ちます。また、アレルギー体質の乳児を持つ親が「市販の粉ミルクを受け付けない」と思い詰め、すがるような思いで他人の母乳を求めてしまう事例もあります。
さらに近年では、乳児用ではなく一部の大人が「筋肉増強に良い」「美容や若返りに効く」といった医学的根拠のないデマを信じ込み、高値で母乳を買い取る歪んだ需要も報告されています。こうした成人向け売買の手法がSNS上で拡散し、母乳を必要とする親の目を引きつけてしまう悪循環を生んでいます。