茶碗蒸しには、海老、鶏肉、椎茸、百合根、三つ葉、そして銀杏など、多彩な具材が底や中間に隠されています。これらをどのような順番で食べるべきかについても、明確なセオリーが存在します。
食べる順番の基本は、「手前の卵生地(プレーンな部分)から味わい、徐々に奥や底の具材へと進む」ことです。最初に出汁と卵の風味を純粋に楽しんだ後、それぞれの具材の旨味が溶け出した部分を食べ進めることで、味の広がりを余すところなく堪能できます。
特に扱いが難しいのが銀杏(ぎんなん)です。丸くて表面が滑りやすいため、箸で強くつまもうとすると弾け飛んでしまうリスクがあります。銀杏を食べる際は、周囲の卵生地と一緒に箸ですくい取るか、箸先で軽く割ってから口に運ぶのが安全で上品な所作です。
また、具材と生地を食べ終えた後に底に残る「美味しい出汁の汁」の扱いにも作法があります。スプーンがない場合、器を両手で持ち上げ、直接口をつけて静かに啜る(飲む)ことはマナー違反ではありません。ただし、音を立ててすすったり、器を高く掲げすぎたりせず、一口ずつ静かに傾けていただくのが礼儀です。