音楽理論の観点から本作を分析すると、清水依与吏のソングライティングにおける卓越した計算が浮き彫りになります。バラードではなく、あえてドライブ感のあるエイトビートを採用した本楽曲は、メジャーキー(長調)を主体としたコード進行で進行します。
サビの展開においては、王道のカノン進行やポップパンク進行の変形を取り入れ、開放感のあるメロディラインを構築しています。しかし、その高揚するコード感の上に「一番大事なものを失った」という痛恨の歌詞が乗ることで、リスナーの感情を激しく揺さぶる「悲しいのに明るい」「明るいからこそ残酷に響く」という独自の感情空間を作り出しています。
さらに、サビの最高音へと駆け上がるボーカルの切迫感は、後悔を叫ぶ主人公の心の叫びそのもの。理路整然としたアレンジの中で、清水の感情がむき出しになったボーカリゼーションが、楽曲全体の説得力を決定づけています。