ネット上の情報では「米酢のほうが高級だから、すべての料理において米酢を使ったほうがおいしくなる」という言説を見かけますが、これは明確な誤解です。
料理研究家や調理科学の知見によれば、素材の臭みを消したい下処理や、酸味の輪郭をクリアに残したい中華風の炒め物(酢豚やサンラータンなど)に純米酢を使用すると、米特有の重厚な風味が他の調味料とぶつかり、くどい仕上がりになってしまうケースがあります。適材適所の役割分担が存在するのです。
また、「安価な穀物酢は添加物が多いのではないか」という不安も事実とは異なります。大手メーカーの穀物酢は、アルコール発酵させた醪(もろみ)に酢酸菌を加えて発酵させる伝統的な醸造技術に基づいて製造されており、余計な合成保存料や化学調味料は基本的に使用されていません。価格差は純粋に「米という原材料のコストと発酵期間の長さ」によるものです。