突然の心停止において、救命の成否は「1分1秒を争うスピード勝負」です。死戦期呼吸が出ている時間帯は、心停止直後であることを意味しており、裏を返せば適切な処置を行えば助かる確率が最も高いゴールデンタイムでもあります。
一般に、心停止に陥った人が何の処置も受けなかった場合、生存率は1分経過するごとに約7〜10%ずつ低下します。救急車が現場に到着するまでの全国平均時間は約9〜10分とされており、通報後に救急隊の到着を待っているだけでは、生存率はほぼゼロに近づいてしまいます。
しかし、死戦期呼吸が起きている初期段階で目撃者が直ちに心肺蘇生(胸骨圧迫)を開始し、AED(自動体外式除細動器)による電気ショックを早期に実施できた場合、社会復帰率は50%以上に跳ね上がります。死戦期呼吸は「手遅れの兆候」ではなく、「今すぐ心臓マッサージを始めれば間に合うというラストチャンスの合図」なのです。