単行本完結から長い年月が経過した現在、読者の評価はどのように変遷したのでしょうか。読書コミュニティやレビューサイトの膨大な口コミを分析すると、完全版の登場を契機とした明確な評価の逆転現象が確認できます。
連載当時のリアルタイム読者からは、「週刊連載で追っていたため、フクベエとカツマタの区別がつかず混乱した」「カツマタ君って誰だっけ?となった」という戸惑いの声が多数を占めていました。しかし、一気読みが可能な環境が整い、さらに完全版の加筆ラストを体験した読者層からは、以下のような高い再評価が寄せられています。
「1巻から伏線を意識して読み返すと、すべてのピースがカツマタ君の悲劇に収束していく構成美に鳥肌が立った」
「完全版のラスト数ページがあるかないかで、この作品の価値は180度変わる。ケンジの『ごめんな』という一言に、20年分の救済が詰まっている」
読者が感じていた初期のモヤモヤは、伏線の破綻ではなく、あまりに緻密で間接的な演出技法がリアルタイム連載の読書体験と乖離していたことに起因していたと言えます。