道具選びにおいても、インターネット上には危険な思い込みが蔓延しています。代表的な誤解が「流行の厚底カーボンプレート入りシューズを履けば誰でも速くなる」という幻想です。
長距離界から短距離界にも波及した厚底・高反発プレート入りシューズですが、これを小学生や筋力の未発達なランナーが着用すると、強い反発力に足首やアキレス腱が耐えきれず、着地時に足首が内側へ倒れ込む「プロネーション障害」を引き起こすリスクがあります。また、シューズの剛性が高すぎると、本来使うべき足裏の内在筋が働かなくなり、スプリントに必要な接地感覚そのものを損ないかねません。
足が速くなるシューズ選びで重視すべき基準は以下の3点です。
・つま先に5〜8ミリの余裕がある適正サイズ
「すぐ大きくなるから」と1センチ以上大きなシューズを履かせると、靴の中で足が滑り、地面への力伝達効率が半減します。
・かかと部分(ヒールカウンター)の硬さ
かかとを手で挟んでみて、簡単につぶれない剛性を持つものを選びます。かかとが安定することで接地のブレが劇的に抑えられます。
・指の付け根部分がスムーズに曲がる屈曲性
靴底全体が板のように硬いものではなく、足指の関節位置で自然に曲がるソールを選ぶことで、地面を捉える推進力が引き出されます。