街角の理容室のサインポールを見上げると、昔ながらのスタイル写真が並んでいるのを目にします。一般的に混同されがちな「角刈り」と「パンチパーマ」ですが、理容の技術体系においては根本から異なるアプローチで作られています。
まず角刈りとは、パーマ液や熱器具を使わず、ハサミとクリッパー(バリカン)のみで髪を直線的・立体的な箱型に整える純粋なカット技法です。頭頂部を水平に切り揃え、ハチの張るコーナー部分に角(カド)を残すことで、スクエアなシルエットを作り出します。毛流れに逆らって髪をミリ単位で直立・均一化させるため、理容師の国家試験課題にも通じる高度な職人技が要求されます。
一方のパンチパーマは、専用の角型・丸型ヘアアイロンを用いて熱変形を与える「アイロンパーマ」の一種です。1970年代に北九州市・黒崎の理容師が考案したとされ、ロットを巻く一般的なコールドパーマでは再現できない、極めて短い髪(1〜3cm程度)への施術を可能にしました。アイロンの高熱で毛髪内部のタンパク質を形状記憶させるため、強い縮れと抜群の再現性を生み出します。
つまり、「カットの形状」を指す角刈りに対し、「熱加工のパーマ技法」を指すのがパンチパーマです。昭和レトロなヘアスタイルとして同一視されがちなふたつですが、ハサミの面で魅せる職人芸か、アイロンの熱でフォルムを固定する機能美かという明確な違いが存在します。