ベトちゃんドクちゃんの現在2026|兄の死因と家族の歩みを追う

ベトちゃんドクちゃんの現在2026|兄の死因と家族の歩みを追う

ベトちゃんドクちゃんの現在2026|兄の死因と家族の歩みを追うの全貌を分かりやすくまとめてご紹介します。

ふたりの物語を振り返るうえで避けて通れないのが、1960年代から1970年代にかけて米軍が散布した枯葉剤(エージェント・オレンジ)の影響です。密林に潜むゲリラ部隊の補給路を断つ目的で大量散布された除草剤には、猛毒のダイオキシンが極めて高濃度で混入していました。戦争終結から数年が経った1981年2月25日、中部高原のコントゥム省サタイ県で、下半身が結合した双子の男児が誕生します。兄がグエン・ベト(Nguyen Viet)、弟がグエン・ドク(Nguyen Duc)と名付けられました。

地元病院からホーチミン市の産婦人科拠点であるツードゥー病院へと移送されたふたりでしたが、1985年、兄のベトさんが高熱を発して急性脳症を併発。意識不明の重体となり、ベトさんの容態急変に伴ってドクさんの生命までもが危機に瀕する事態に陥りました。この未曾有の危機に対し、国境を越えて救いの手を差し伸べたのが日本の市民社会と医療関係者です。

1986年6月、緊急搬送された日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)でベトさんの救命処置が行われ、一命を取り留めました。しかし、ベトさんの脳には深刻な後遺症が残り、意思疎通が困難な寝たきりの状態となってしまいます。このままでは2人ともに命を落としかねないという極限状況の中、ツードゥー病院の医師団と日本の支援グループによる決断が下されました。それが、歴史的なベトちゃんドクちゃん分離手術です。

1988年10月4日、日越共同の医療支援体制のもと、ベトナム人医師ら約70名と日本から駆けつけた専門医チームが見守る中、17時間20分に及ぶ大手術が敢行されました。1つの肝臓、共有されていた骨盤や生殖器、下肢を慎重に切り離す難手術は見事に成功。世界の医療史に刻まれる奇跡の瞬間として、日本でも特番が組まれるなど列島中が歓喜に包まれました。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。