タイル小路のように失われた風景がある一方で、尾道には今も当時の面影を色濃く残すロケ地が数多く残されています。現地を訪れた際に必ず足を運びたい代表的なスポットを紹介します。
■ 艮神社(うしとらじんじゃ)
千光寺山ロープウェイ山麓駅のすぐ隣に鎮座する尾道最古の神社。境内にそびえ立つ樹齢900年を超える巨大なクスノキが圧倒的な存在感を放ちます。劇中では和子が深町一夫と語り合い、時計の針の音とともに時間の異変を予感する極めて重要な舞台として登場しました。境内を吹き抜ける風には、映画と同じ厳かな空気が漂っています。
■ 瓦の坂(福善寺前の石段)
長江通りから福善寺へと続く上り坂には、石段の側面に古い日本瓦が整然と埋め込まれた独特の景観が広がっています。和子や深町たちが日常の通学路として行き交ったこの坂道は、尾道らしい高低差と歴史の情緒を肌で感じられる屈指の撮影ポイントです。
■ 長江浄水場・配水池周辺
映画のオープニングをはじめ、尾道水道を一望する高台の風景として切り取られたエリアです。坂を登りきった場所から見下ろす瀬戸内海の青と密集した家々の屋根は、大林映画特有の叙情的なパノラマを今に伝えています。