一般的な登山では敬遠される「雨」や「湿気」こそが、苔の森においては最高のスパイスへと変わります。苔林のポテンシャルが最大化するベストシーズンは、6月中旬から7月下旬の梅雨時期、ならびに9月から10月上旬の初秋です。
乾燥している冬や晴天続きのハイシーズンには、苔は休眠状態に入り葉を縮めてしまいます。しかし、ひとたび雨露を含むと、細胞が一斉に水分を吸い上げてふっくらと拡張し、目を見張るようなエメラルドグリーンへと覚醒します。特に狙い目なのは「長雨が止んだ直後の晴れ間」や「深い霧(ガス)が森を包み込む早朝」です。森全体が淡いヴェールに包まれ、樹々の隙間から光の筋が差し込む瞬間は、息をのむほど神秘的な絶景を見せてくれます。