インターネット上や若い世代の一部では、「堺正章はコメディアンや名司会者が片手間に歌っているのではないか」という誤解が散見されます。しかし、これは彼のキャリアの多面性が生んだ完全な逆転現象です。
実際には、彼にとっての原点であり背骨となっているのは常に「音楽」でした。昭和のエンターテインメント界では、歌、芝居、トークのすべてにおいて一流であることがトップスターの条件であり、堺はその最高峰に位置していた存在です。1970年代から80年代にかけての歌番組で魅せた生演奏とのセッションを見れば、即興演奏に完璧に追従する確かなミュージシャンシップが一目瞭然となります。
また、彼のボーカルスタイルは単なるノスタルジーにとどまりません。近年のシティポップ・ブームにおいても、堺の初期ソロ作品群にみられるソウルフルな歌謡ポップスは、海外のDJやリスナーからも高い評価を獲得しています。