ドラッグストアで手に入る夏の長引く咳に対する市販薬には注意が必要です。ネット上では「咳止めを飲めば数日で治る」という誤った情報も見受けられますが、一般的な市販風邪薬に含まれる中枢性鎮咳薬(デキストロメトルファンやコデイン類など)は、脳の咳中枢を一時的に麻痺させる対症療法に過ぎません。
咳喘息や夏型過敏性肺炎の本質は「アレルギー性の気道炎症」です。根本的な炎症を取り除かない限り、咳中枢を抑えても気道の過敏性は改善せず、薬効が切れると再び激しい咳込みが再発します。また、痰が絡む湿性咳嗽の場合に強い咳止めを使用すると、気道内の病原体や分泌物を排出できなくなり、かえって病状を悪化させるリスクさえ生じます。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
咳への対処において、自己判断での経過観察が許される範囲と、直ちに専門医へ行くべき基準は明確に分かれます。
【市販薬や自宅療養で様子見が可能な条件】
風邪の引き始めで発症から1週間以内であり、日を追うごとに咳の頻度や痰の量が確実に減っている場合。この場合は、室内の加湿(湿度50〜60%)や水分補給、喉の保湿で自然軽快を待つことが選択肢に入ります。
【直ちに呼吸器内科を受診すべき危険な条件】
咳が3週間以上継続している場合、夜間の咳で中途覚醒が頻発している場合、階段の上り下りで息切れを伴う場合、血痰が出た場合です。受診先としては、耳鼻科や一般的な内科よりも、呼気NO(一酸化窒素)検査やスパイロメトリー(呼吸機能検査)などの専門設備を備えた呼吸器内科への受診が最短の解決策となります。