成人の消化管通過には問題がない一方で、乳幼児や小さな子供におけるぶどうの種誤飲時の対処法には特別な注意が求められます。消化器系の問題というよりも、気道狭窄や窒息のリスクが存在するためです。
日本小児科学会などの注意喚起によると、3歳未満の乳幼児は嚥下機能や咳反射が未発達なため、滑りやすいぶどうの粒や硬い種子が気道に入り込む「気道異物」の危険があります。万が一子供が種を飲み込み、激しくむせる、声が出せない、顔色が青白くなるといった異変が見られた場合は、直ちに背部叩打法などの応急手当を行い、速やかに医療機関を受診してください。何事もなく飲み込み、普段通りに呼吸や水分補給ができている場合は、数日間の排便状態を観察する対応で十分です。
また、市場で高いシェアを誇るシャインマスカットに種が入っている理由についても、消費者の間で疑問視される場面が増えています。「種なしぶどう」として販売されている品種の多くは、遺伝的に種ができないわけではなく、開花前後に「ジベレリン」という植物ホルモン剤で処理を行うことで、人為的に無核化(種をなくす処理)を施しています。
しかし、近年の気候変動による春先の異常高温や梅雨時期の天候不順、樹勢の強弱によって開花ステージにズレが生じると、ジベレリン処理の適期をわずかに逃してしまうことがあります。その結果、房の中の数粒に受粉・結実反応が起こり、硬い種や未熟な「ストロー種(空洞の種)」が残存してしまうという農業生産上の物理現象が発生します。