法廷闘争の終結を経て、現在の東雲住宅は本来の目的である国家公務員の合同宿舎として運用されています。夜間になると多くの部屋に明かりが灯り、霞が関を支える官僚たちの生活拠点として機能しています。
一方で、財務省が進める「国家公務員宿舎の削減基本方針」の波は、今なおこの建物に影響を与え続けています。政府は過去10年以上にわたり全国の公務員宿舎を約半減させる行革を推進してきました。その中で、東雲住宅のような大規模タワー宿舎を維持し続けることへの費用対効果や、湾岸の一等地に残し続けることの妥当性が定期的に国会等で議論されています。
現時点において東雲住宅の即時売却や廃止が決まっているわけではありません。危機管理要員の確保という実務上の理由があるためです。しかし、不動産市場における湾岸エリアの地価が高水準を維持する中、「民間への売却益を国の財源に充てるべき」「一般賃貸や複合開発として民間に開放すべき」という再編を求める議論は、今後も継続して浮上する可能性を秘めています。