エヴァ「逃げちゃダメだ」は何話で何回言った?心理と誕生秘話の真相

エヴァ「逃げちゃダメだ」は何話で何回言った?心理と誕生秘話の真相

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このセリフが誕生した背景には、庵野秀明監督が直面していた凄絶な創作の苦悩が存在します。公式刊行物や当時のインタビュー資料によると、庵野監督は前作『ふしぎの海のナディア』の制作終了後、激しい燃え尽き症候群と重度の鬱状態に陥り、約4年間アニメーション制作の現場から離れていました。

「自分にはもう何もないのではないか」「アニメを作ることからも、現実からも逃げ出したい」という底知れぬ絶望のなかで企画されたのが『新世紀エヴァンゲリオン』でした。監督自身が当時の手記などで告白している通り、「逃げちゃダメだ」という言葉は、作品を作るために机に向かい、再び生きる現実へと踏み出そうとした庵野監督自身の切迫した自己叱咤に他ならなかったのです。

そして、その剥き出しの言葉に圧倒的な生命を吹き込んだのが、シンジ役を務めた声優の緒方恵美氏です。当時のアフレコ現場の回顧録によると、第1話の収録時、緒方氏はテスト段階から精神的・肉体的にシンジと極限までシンクロし、過呼吸寸前になりながらマイクに向かっていました。

演出意図を汲み取るだけでなく、14歳の少年に背負わされた理不尽な重圧と恐怖を生々しく喉から絞り出す演技は、制作スタッフ全員を息を呑ませる凄みを持っていました。「ただセリフを読む」のではなく、「魂を削って自己暗示をかける」緒方氏の絶叫に近い演技があったからこそ、視聴者の鼓膜と心に消えない杭として打ち込まれたのです。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。