2020年、脚本家・野木亜紀子、演出・塚原あゆ子、プロデューサー・新井順子という現代テレビ界最強のヒットメーカー陣が二人のために用意した舞台が、『MIU404』である。
警視庁「第4機動捜査隊(4機捜)」を舞台に、綾野が演じたのは野生の勘と驚異的な身体能力を持つ型破りな刑事・伊吹藍。対して星野が演じたのは、過去の相棒の死によって他人も自分も信じられなくなった元捜査一課のエリート・志摩一未だ。
放送当時、SNSを中心に視聴者から絶賛されたのは、従来のステレオタイプな「衝突しながら友情を深める熱血刑事ドラマ」とは一線を画すリアリズムだった。志摩の理性的なツッコミと伊吹の直感的な行動力は、時にユーモラスでありながら、事件の核心に迫る場面では痛切な倫理的問いかけを投げかける。
物語の根底に流れる「誰と出会うかで人生のスイッチがどちらに入るか決まる」というテーマ性(いわゆるピタゴラ装置のメタファー)は、伊吹と志摩という二人の危うくも強固な関係性に完全にリンクしていた。綾野の俊敏な疾走アクションと、星野の抑制の効いた眼差しの演技が噛み合い、ギャラクシー賞をはじめ数々の賞レースを席巻したことは記憶に新しい。