実際の現場において、両者はどのように協働し、どのような摩擦や相互補完が生まれているのでしょうか。両者が密接に交錯する代表的な現場が特別養護老人ホーム(特養)です。
特別養護老人ホームでの役割の違いを検証すると、介護福祉士はユニットやフロアに常駐し、排泄ケア、食事介助、体位変換、利用者の精神的安定を図る声かけを朝夕・夜勤を通じて担います。日々のバイタルや食欲の減退、皮膚トラブルなどを誰よりも早く察知する「センサー」の役目です。一方、特養における社会福祉士は多くの場合「生活相談員」として配置されます。家族からの苦情対応、利用料の滞納相談、ショートステイの空床管理、病院や外部ケアマネジャーとの連絡調整を一身に引き受けます。
大手特養の元施設長への取材によると、現場ではしばしば意識の乖離が発生すると証言されています。「介護スタッフ側からすれば『相談員はクーラーの効いた事務所で電話ばかりして、現場が人手不足で悲鳴を上げているのにオムツ交換一つ手伝いに来ない』という不満が溜まりやすい。反対に相談員側は『現場は目の前の利用者の話しか見えていないが、こちらは利用者の預貯金残高の枯渇や親族間の遺産トラブル、行政監査の書類不備といった施設存続に関わる難題を背負っている』という孤立感を深める構造がある」と語ります。
また、医療現場における社会福祉士の代表格である医療ソーシャルワーカー(MSW)の領域では、介護職とは全く異なる心理的重圧が日常化しています。急性期・回復期病院に入院してきた患者が、治療を終えても自宅復帰できない「退院難民」化を防ぐため、病状が不安定な段階から家族面談を重ね、転院先や介護施設を探し出さなければなりません。公の特番インタビューや現役ソーシャルワーカーの手記には「主治医からは『今週中に退院先を決めてベッドを空けろ』と詰められ、患者家族からは『介護なんて無理、見捨てる気か』と罵声を浴びせられる。医療法と介護保険法の間で板挟みになりながら、制度を駆使して落としどころを探る極限の調整役」というリアルな告白が記されています。
さらに混同されやすいのがケアマネジャーと社会福祉士の違いです。介護支援専門員(ケアマネジャー)は「介護保険制度」という特定の単一法規に基づいて要介護者へのケアプランを作成するスペシャリストであり、介護実務5年以上の従事者が受験する資格です。これに対し、社会福祉士は介護保険法に限定されず、生活困窮者自立支援法、生活保護法、児童福祉法、障害者総合支援法などを包括的に扱い、社会からこぼれ落ちそうな多重債務者や孤立世帯そのものを救済する役割を担います。