動画共有プラットフォームやSpotifyなどの失恋プレイリストのコメント欄は、いわば「世界で最も巨大な失恋の駆け込み寺」となっています。
歌愛ユキを起用した名曲『いかないで』のコメント欄には、「もう別れて何年も経つのに、この曲を聴くたびに改札口で見送った最後の背中を思い出す」「生身の人間の歌は重すぎて受け止められないとき、この少し幼い声だけが胸にすっと入ってきた」といった書き込みが数多く寄せられています。音楽配信サービスのデータを見ても、失恋関連のボカロ曲のストリーミング再生数は深夜0時から4時にかけて突出する傾向があり、孤独な夜の避難場所として機能している実態が浮き彫りになっています。
また、カンザキイオリ氏の『命に嫌われている。』をはじめとする実存的な苦悩を歌う楽曲が失恋プレイリストに組み込まれている点も象徴的です。恋人の喪失を単なる恋愛の失敗としてではなく、「自分の世界そのものの崩壊」として受け止めている人々にとって、命や存在の意味にまで踏み込んだボカロ曲こそが、本当の意味で寄り添ってくれる存在になっているといえます。