「自分に似合う髪型が全くわからない」と頭を抱える男性の多くは、根本的な原因を取り違えています。似合わない髪型の決定的な理由は、顔立ちの良し悪しではなく、「自己像の歪み」と「三次元構造の軽視」という2つの錯覚に起因しています。
人間が鏡を見る際、無意識にキメ顔を作ったり、照明の当たりやすい正面のみを凝視したりする傾向があります。認知心理学においてこれは「自己スキーマの防衛」とも呼ばれ、静止した都合の良い正面像ばかりを記憶に刷り込んでしまう現象です。しかし、他者が目にする日常の姿は、45度の斜め角、横顔、あるいは歩行時の揺らぎを伴う三次元の立体物です。正面の輪郭だけを隠そうと前髪やサイドを重く残した結果、横から見たときに後頭部の絶壁が強調されたり、首元との比率が崩れて頭が大きく見えたりする悲劇が起こります。
ヘアカタログの罠も無視できません。カタログに登場するモデルは、彫りの深さや顎の細さ、首の長さがあらかじめ計算されています。髪型単体のフォルムに魅了され、自らのパーツバランスとの落差を考慮せずに同じカットを施せば、当然ながら違和感が生じます。「髪型そのものがかっこいいこと」と「その髪型があなたの骨格を補正していること」は明確に区別して捉えなければなりません。