皮膚の隆起すべてが感染症というわけではありません。中高年以降に発生率が跳ね上がるのが、老人性疣贅と加齢の影響によって生じる病変です。その代表格が、医学用語で「脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)」と呼ばれる良性の上皮性腫瘍です。80代以上の高齢者ではほぼ100%に認められる極めて身近な病変であり、ウイルス感染ではなく、長年の紫外線被曝と皮膚の老化現象が主因となります。
患者が皮膚科を受診する動機の多くは、脂漏性角化症との見分け方に関する疑問です。尋常性疣贅が角質層の硬いザラつきを見せるのに対し、脂漏性角化症は褐色から黒褐色で、まるで「皮膚の上に泥や黒ゴマのペーストがへばりついている」かのような境界明瞭な外観を呈します。表面は脂っこくボロボロと崩れやすい質感を持ち、顔面や頭部、胸部や背中などの日光露出部を中心に多発します。
もう一つの代表例が、首周りや脇の下、鼠径部など皮膚が薄く摩擦を受けやすい部位にできる小型のいぼです。これらはサイズや形状によって呼び分けられますが、本質的な病態としてスキンタッグと軟性線維腫の違いは良性線維上皮性ポリープの発達段階にあります。直径1〜2ミリ程度の非常に小さな肌色〜褐色の多発病変をアクロコルドン(スキンタッグ)と呼び、茎を持って皮膚から垂れ下がる数ミリ〜1センチ前後の単発性病変を軟性線維腫と診断します。体質や肥満、衣類・下着の物理的摩擦が引き金となるため、他人にうつる心配は一切ありません。