特別な画材を買い揃えなくても、デスクにあるペン1本でカフェメニューのような雰囲気を作り出すことは十分に可能です。ここでは、モノクロ表現から色彩設計まで、作品の完成度を跳ね上げる具体的な技術を解説します。
手帳や付箋にサラリと描くボールペンで描くモンブランイラストでは、線の「粗密」で光と影をコントロールします。クリームの山全体に斜線を引くのではなく、以下の3カ所だけに絞って短いハッチング(平行な影の線)を入れます。
1つ目は「トップの栗の直下」、2つ目は「各クリームの筋が重なり合って奥に入り込む谷間」、そして3つ目は「ケーキの底面と皿の設置面」です。この3点にピンポイントで影を落とすだけで、白黒のモンブランフリー素材のようにシンプルでありながら、くっきりとした奥行きが立ち現れます。
一方、親しみやすいかわいいモンブランイラストに仕上げたい場合は、リアルな比率から頭身を意図的に縮めるデフォルメが効果的です。全体の高さを抑えて横幅を持たせ、栗のサイズを実物よりも20〜30%ほど大きく描くことで、絵本のような愛らしいシルエットが完成します。
さらにカラーで仕上げる際は、スイーツイラストの配色と立体感の黄金律を押さえておく必要があります。モンブランには大きく分けて2つの系統が存在します。
昭和レトロな喫茶店で見られる「黄色いモンブラン(栗の甘露煮ベース)」を描く場合は、クリームに鮮やかなレモンイエローを置くのではなく、くすんだマスタードイエローを基調にし、影に薄い黄土色を重ねます。対して、現代のパティスリーに多い「渋皮栗の茶色いモンブラン」では、赤みを帯びたベージュ(ミルクティー色)をベースにし、影の部分にセピアやココアブラウンを配することで、上品な濃厚さを演出できます。どちらの場合も、紙の白さを残すハイライト領域を全体の10%確保することが、みずみずしい美味しさを担保する絶対条件です。