インターネット上の掲示板やSNSで定期的に話題に上るのが、「ココイチに自宅の両手鍋を持参すると、直接ルーを注いでもらえる」という懐かしいエピソードです。昭和から平成初期にかけて、一部のフランチャイズ店舗や地域密着型店舗において、客が持参した鍋に複数人前のカレーソースを入れて販売していた事実がかつて存在したのは確かです。
現在そのルールはどうなっているのでしょうか。結論から言えば、ココイチ全店において鍋持参による直接提供は原則禁止となっています。
この転換の背景には、外食産業全体で義務化されたHACCP(ハサップ:危害要因分析重要管理点)に沿った厳格な衛生管理基準があります。店舗側が洗浄・殺菌プロセスを管理できない外部の私物容器を厨房内へ持ち込むことは、交差汚染や異物混入、細菌性食中毒の発生源になりかねません。万が一トラブルが発生した際、店舗側の調理工程に瑕疵があったのか、持ち込まれた鍋の衛生状態に問題があったのかを科学的に切り分けることが不可能だからです。
「鍋を持参すれば容器代が浮く」「大量に買える」と考えて鍋を店頭へ持ち込んでも、スタッフから丁重に断られ、既定の使い捨て容器へ移し替えて渡されることになります。現場のオペレーションを混乱させないためにも、「鍋持参文化は過去の遺産であり、現在は専用容器でのテイクアウトが絶対のルールである」と認識しておく必要があります。