心筋梗塞で右肩が痛む理由とは?左肩との違いや危険な病気を見抜く

心筋梗塞で右肩が痛む理由とは?左肩との違いや危険な病気を見抜く

心筋梗塞で右肩が痛む理由とは?左肩との違いや危険な病気を見抜くについて専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

結論から申し上げますと、心筋梗塞によって右肩に激しい痛みや締め付け感が生じる可能性は十分に存在します。一般的に「心臓発作の放散痛は左腕や左肩」というイメージが定着しているため、右肩に痛みが出た患者は整形外科的な肩関節疾患や激しい筋肉痛と自己判断し、病院への受診が大幅に遅れる傾向が見られます。循環器救急の現場データによると、急性冠症候群(ACS)の患者が訴える放散痛のうち、約60〜70%は左上肢・左肩に集中する一方で、およそ5〜10%の症例で右肩や右腕への放散痛が確認されています。

この現象を引き起こす正体が、医学的に「関連痛(Referred Pain)」と呼ばれる神経の錯覚です。心臓の筋肉(心筋)へ酸素を送る冠動脈がプラークの破裂などで突然閉塞すると、心筋細胞が虚血状態に陥り、強い発痛物質(ブラジキニンやアデノシンなど)が一斉に放出されます。この強烈な痛覚シグナルは内臓求心性交感神経を経由して脊髄へと上行しますが、その中継地点となるのが頸髄(C3〜C5)から胸髄(T1〜T5)の後角ニューロンです。

問題は、この脊髄後角の同じ神経細胞プールに対し、肩、首、上肢、背中などの皮膚や骨格筋を司る体性感覚神経も合流(収斂)している点にあります。内臓の強い痛覚刺激が脊髄に急激に流れ込むと、脳の感覚野は「どのルートから痛みが届いたのか」を正確に判別できなくなり、過去に痛みを感じる機会が多かった体表面の領域――すなわち肩や腕の神経が興奮していると誤認します。これが、心臓そのものではなく肩が締め付けられるように痛む関連痛の詳細なメカニズムです。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。