競技大会のハーフパイプから退いた後、国母が自身の表現の場として選んだのがバックカントリー(未開拓の大自然の雪山)です。ヘリコプターで人跡未踏の険しい雪山に降り立ち、雪崩の危険と隣り合わせの中で垂直に近い斜面を時速数十キロで滑走しながら、巨大なクリフ(崖)から飛び降りる極限の世界です。
逮捕後、一時はすべての活動休止を余儀なくされましたが、スノーボード界への復帰は、競技団体によるお膳立てではなく、世界中の雪山を愛するフィルムメイカーやライダーたちの熱烈なラブコールによって実現しました。国母の武器は、ハーフパイプで培った世界屈指の空中感覚と、急斜面でも一切ブレない驚異的なエッジコントロールです。
世界最高峰のスノーボードフィルムプロダクションが制作する映像作品において、国母は日本人として前人未到のパート(映像の主役枠)を獲得し続けました。世界で最も権威あるスノーボード専門誌『TransWorld SNOWboarding』のアワードにおいて、年間最優秀ライダーに選ばれるなど、そのバックカントリーでの実力は世界歴代トップクラスと評されています。現在もYouTubeや専門配信プラットフォームで公開されている国母和宏のスノーボード動画は、再生回数が数十万回を超え、海外のプロライダーたちからも「生ける伝説」としてリスペクトされています。