テレビ番組の制作現場において、「共演NG」という言葉がどのように運用されているのか。キー局のチーフプロデューサー経験者は、匿名を条件にその内情を次のように証言しています。
「ダウンタウンさんクラスになると、本人たちが『あいつとは出ない』と直接口にすることはまずありません。現場が一番恐れるのは、収録現場の空気感が淀み、ダウンタウンの持ち味である鋭いアドリブやテンポが損なわれることです。だからこそ、過去に少しでも舌戦があった相手や、松本さんの美学と合致しないスタイルのタレントは、企画段階で現場のキャスティング担当が自主的に候補から外します。その積み重ねが、外部からは『絶対的NGリスト』に見えてしまうのです」
この忖度の構造を逆手に取ってエンターテインメントに仕立て上げたのが、TBS系『水曜日のダウンタウン』でした。同番組では、ネット上で不仲や確執が噂される芸人同士を密室に閉じ込めるドッキリ企画や、過去に遺恨を残したタレントをパネラーに呼んでダウンタウンの目の前に座らせる演出を敢行。水曜日のダウンタウン共演を通じて、視聴者がタブー視していた緊張感を「笑いのネタ」へと解体してみせました。
視聴者コミュニティやSNS上でも、「昔は本当に殺伐としていてハラハラしたけれど、今のダウンタウンはどんな相手でも受け止める度量がある」「スタッフの忖度を本人たちが笑いに変えているのが痛快」といった声が主流を占めています。現場の過度な配慮によって生まれた壁を、皮肉にもダウンタウン自身の冠番組が突き崩していく構図が定着しました。