騒動から長い年月が経過した現在、2008年から2009年の麻生政権は歴史的にどのように位置づけられているのでしょうか。政治経済の専門家の間では、「政策の即応性は高かったが、コミュニケーション戦略で致命的に敗北した政権」という評価が定着しています。
実際、麻生政権はリーマン・ショック直後、総額約75兆円(事業規模)に及ぶ経済対策を迅速に決定しました。全世帯への定額給付金の支給、中小企業金融円滑化の枠組み作り、さらにはIMF(国際通貨基金)への1,000億ドルの資金拠出表明など、国際金融危機の沈静化において極めて重要な役割を果たしました。当時の英ブラウン首相ら海外首脳からも、日本の迅速な財政出動は高く評価されていたのです。
しかし、国内においてはそれらの巨大な政策成果が、連日の「漢字誤読ニュース」や「カップラーメンの値段を知らなかった」といった些末な失言報道にかき消されてしまいました。どれほど的確な危機管理を行っていても、シンボリックな失態によって一度「親しみにくい」「軽薄である」というイメージが定着すると、それを覆すことは極めて困難であるという、現代政治の冷酷な現実を証明することになりました。