大分県豊後大野市 原尻の滝を訪れた旅行者が一様に驚くのは、山間部を登り詰めた先ではなく、ごく普通の集落と田畑が広がる緒方平野の真ん中に突如として大滝が出現するロケーションです。一般的な名瀑の多くが険しい渓谷沿いに位置するのに対し、原尻の滝は平坦な大地を流れる緒方川が一気に落ち込む構造を持っています。
この特異な景観が形成された最大の理由は、今から約9万年前に発生した阿蘇火山の第4期巨大噴火(Aso-4)にあります。当時、九州全土を覆い尽くした膨大な火砕流がこの地に堆積し、冷却固結する過程で「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれる垂直の割れ目が無数に形成されました。その後、緒方川の水流侵食によって柱状の岩塊が次々と崩落し、幅約120メートル、落差約20メートルに及ぶ半円形の美しい崖面が削り出されたのです。
本家北米のナイアガラの滝と同様に、幅広の断崖が馬蹄形(U字型)を描いて水を落とす優美でダイナミックな姿から、原尻の滝 東洋のナイアガラ 理由として広く知られるようになり、1990年には環境庁(現・環境省)主導の原尻の滝 日本の滝百選および「大分県百景」に見事選定されました。大地が刻んだ9万年の歴史が、穏やかな農村景観と見事なコントラストを生み出しています。