両陛下のご活動において、国際親善と並ぶもう一つの柱が、困難な状況に置かれた人々への慰問です。能登半島地震をはじめ、相次ぐ自然災害に見舞われた地域への天皇皇后両陛下 被災地ご訪問では、昭和から平成を経て受け継がれた「祈りの精神」がさらに深化しています。
避難所や仮設住宅の集会所を訪れられた際、両陛下は床に直接両膝をつき、被災者の目線よりもさらに低い位置まで頭を下げて言葉を交わされます。現地で取材した石川県輪島市の商店主(60代)は、声を詰まらせながらこう振り返りました。
「陛下は私の泥だらけの長靴に目を留められ、『大変でしたね。寒さはお体に障っていませんか』と、ご自身の手を前に組まれてじっとこちらの話を聞いてくださいました。雅子さまも私の妻の手を握るように近づかれ、『一歩一歩、どうかご無理なさらないでくださいね』と涙ぐまれて……。あの瞬間、胸に詰まっていた重荷がすっと消え去ったような気がしました」。
この「共感の眼差し」は、単なる公務の演出ではありません。両陛下はご公務から御所へ戻られた後も、側近に対して「あの地域の方々の生活再建はどこまで進んだか」「仮設住宅の冬場の暖房は行き届いているか」と、継続的な進捗を何度も確認されているといいます。国民の見えないところで注ぎ続けられる祈りと配慮こそが、被災者との深い精神的絆を支えています。