重大事件が発生した際、世間の関心は真っ先に「被疑者の身元」へと向かいます。相模原市内で発生した女子高生を巡る事件においても、発生直後から検索エンジンやSNS上で犯人の実名や素性を求める動きが激化しました。しかし、日本の報道機関における実名報道の可否は、警察の捜査発表および法制度によって極めて厳格に運用されています。
成人事件であれば原則として逮捕段階で実名および年齢・職業が公表されますが、被疑者が未成年(18歳未満)の場合、少年法第61条により推知報道(氏名、年齢、職業、容貌など本人を特定できる情報の報道)が法律で禁じられています。2022年4月に施行された改正少年法によって「特定少年(18歳・19歳)」が起訴された場合には実名報道が一部解禁されたものの、逮捕段階や家庭裁判所送致の段階では依然として匿名報道が原則です。
相模原の事件においても、被疑者の属性や起訴内容、精神鑑定の結果などに基づき、各報道機関は日本新聞協会のガイドラインに則った慎重な判断を行いました。法廷での審理や公式な司法記録に記載された客観的情報のみが、社会的正当性を持つ身元情報として取り扱われています。