毎年この時期になると、実情とは異なる都市伝説や思い込みがネット上を一人歩きする。その最たるものが、ケンタッキー激辛ソースの売り切れと再販に関する誤解だ。店頭で「ソース完売」の掲示を見た消費者が「全国的な供給停止」と早合点するケースが散見されるが、実際は店舗ごとの個別発注枠が上限に達したことによる一時的な欠品であることが多い。
各店舗のロジスティクスを調査すると、週末のピーク時などに局所的な在庫切れが発生しても、平日の定期便で若干数の在庫が復活する場合がある。ただし、キャンペーン後半に差し掛かってメーカーの製造ストック自体が枯渇した段階では、実質的な再販は行われないのが通例だ。再販を期待して待つのではなく、近隣の別店舗に足を伸ばす方が確実性は格段に高い。
もう一つの深刻な盲点が「激辛を水でリセットできる」という生理学的誤解である。カプサイシンは水に極めて溶けにくい脂溶性の化合物だ。辛さに耐えかねて冷水をがぶ飲みすると、口腔内に残ったカプサイシンオイルが喉の奥へと広がり、かえって痛覚を拡散させる結果を招く。中和に必要なのは水ではなく、カゼインを含む牛乳や飲むヨーグルト、あるいは油分を吸着するバニラアイスクリームである。
また、ネット上で一部のチャレンジャーが推奨する「ビスケットに激辛ソースを塗る」「コールスローに全量混ぜる」といったエキストリームなアレンジも、初級者は厳に慎むべきだ。甘味やマヨネーズのコクで辛さがマイルドになるどころか、ソースの油分が分離して喉を直接攻撃する危険なトラップと化す。