ケンタッキーのレシピを巡る最大の激震は、2016年8月に米紙『シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)』が報じたスクープ記事でした。同紙の記者がケンタッキー州ハーランドにあるサンダースゆかりの町を取材中、カーネル・サンダースの甥にあたるジョー・レディントン(当時75歳)氏と接触。親族の遺品アルバムを見せる過程で、サンダースの2番目の妻クラウディアの手書きと見られるメモの裏に「11 Spices - Mix With 2 Cups White Fl.(11種類のスパイス - 白小麦粉2カップに混ぜる)」と記されたリストが残されていたのです。
この一件はケンタッキーレシピ流出の真相として瞬く間に世界中のメディアへ拡散しました。同紙の報道陣が実際にキッチンでこのメモに従って試作したところ、当初は「何かが足りない」状態だったものの、仕上げにアクセント(MSG/グルタミン酸ナトリウム)をひと振りした瞬間に「まさに誰もが知るあのフライドチキンの味そのものになった」と証言しています。
しかし、ブランドを保有する米ヤム・ブランズ(Yum! Brands)傘下のKFC本部は即座に声明を発表。「長年にわたり多くの人々が秘密を解明したと主張してきたが、どれも本物ではない。このレシピも正確なものではない」と疑惑を全面否定しました。甥のレディントン氏も後日の取材では「取材当時は本物だと思ったが、記憶が曖昧だったかもしれない」とトーンダウンするなど、真相は煙に巻かれた形となっています。