彼の元を訪れた顔ぶれを見れば、その影響力の大きさに息をのむ。もっとも関係が深かった政治家の一人が、元内閣総理大臣の安倍晋三だ。第一次政権の退陣後、心身ともに深い傷を負っていた時期から、最福寺での護摩行を通じて再起への活力を得ていたことは広く知られている。最高権力者が孤独な決断を迫られる瞬間、怪僧の祈祷は絶対的な精神の防波堤となっていた。
一方、勝負の世界に生きるアスリートたちもまた、その炎に己の限界をぶつけてきた。阪神タイガースなどで「鉄人」と称された金本知憲をはじめ、数々のプロ野球選手がオフシーズンに護摩行へと挑んだ。骨を焼き焦がすような熱風に耐え抜く経験は、シーズン中の凄まじいプレッシャーを跳ね返すための精神的支柱となった。勝敗という冷酷な現実に晒されるプロフェッショナルたちにとって、ここは己の弱さを焼き払うための聖域だったのだ。