ミナミアオカメムシが農業生態系において極めて危険視される最大の理由は、寄主植物の広範さと強烈な吸汁加害力にあります。イネ科、マメ科、ナス科、アブラナ科、果樹類まで100種以上の植物を加害します。
水稲における被害の真相は、出穂期から登熟初期にかけての吸汁です。穂が出た直後の軟らかい籾に口針を突き刺してデンプン汁を吸汁すると、吸汁痕を中心に糸状菌(カビ)などが侵入・繁殖し、黒色や褐色のシミがついた斑点米となります。斑点米の混入率がわずか0.1%を超えるだけで、米の等級は1等米から2等米、3等米へと転落し、農家の手取り収入に直結する甚大な経済損失をもたらします。
また、大豆への加害も壊滅的な影響を及ぼします。開花後、莢(さや)が形成される着莢期から子実肥大期に吸汁されると、莢の中に豆が入らない「空莢(からざや)」になったり、子実が変形・褐変して商品価値を完全に失います。被害が進行すると株全体が青いまま立ち枯れる「青立ち現象」を引き起こし、収穫作業そのものが不可能になるケースも報告されています。