朝、意識が覚醒しているにもかかわらず布団から這い出せないとき、体内では何が起きているのでしょうか。人間が覚醒状態へとスムーズに移行するためには、自律神経系と内分泌系(ホルモン)が緻密に連動する必要があります。通常、起床予定時刻の約2〜3時間前から、副腎皮質から覚醒ホルモンである「コルチゾール」が分泌され、血圧と血糖値を徐々に押し上げます。同時に、睡眠中に低下していた体内深部の温度(深部体温)が上昇へと転じることで、身体は活動準備を完了させます。
しかし、慢性的な疲労や激しい精神的負荷、過度な睡眠不足が蓄積すると、この覚醒システムに致命的なエラーが生じます。副交感神経から交感神経へのスイッチングが遅延し、脳血管や末梢血管への血流分配が滞ることで、意識は起きているのに筋肉が弛緩したままという「運動機能の立ち上がり不全」が引き起こされるのです。
特に冬期や季節の変わり目には、急激な外気温の低下が追い討ちをかけます。皮膚温度が急激に下がると、血管が過剰に収縮して血行が悪化し、筋肉が硬直します。さらに、布団の中の快適な温もり(約32〜34℃)と寝室の冷気(10℃以下)との間に極端な温度ギャップが存在する場合、脳の防衛本能は「生命維持のために暖かい場所にとどまれ」と無意識下で指令を出します。つまり、布団にしがみつく反応は、生物学的に極めて合理的な自己防衛反応の一環でもあるわけです。まずは「怠けている自分が悪い」という自罰的な認知の歪みを捨て去ることが、根本改善に向けた不可欠な第一歩となります。