首相の一存で決断される衆議院解散ですが、国家および主権者たる国民にとって、それはどのような利害をもたらすのでしょうか。光と影の両面を直視しなければなりません。
最大のメリットは、国家運営の基本方針や重大な政策転換について、主権者である国民が直接白紙委任を撤回し、新たな民意を投じられる点です。公約に掲げていなかった大増税や安全保障政策の抜本改変、あるいは首相の交代に伴い政策方針が大きく舵を切った際、選挙を通じて有権者が直接「是か非か」を下す機能は、民主主義のセーフティバルブとして欠かせません。
一方で、看過できないデメリットも多数存在します。筆頭に挙げられるのが莫大な国費の消費です。全国一斉に実施される衆議院総選挙には、投票用紙の印刷、投票所・開票所の設営、人件費、ポスター掲示場の設置などで毎回およそ550億〜650億円規模の血税が投じられます。さらに、国会が閉会し政府機能が選挙モード一色に染まることで、緊急性を要する法案の審議や経済対策が数か月にわたり停滞する「政治空白」も深刻な弊害です。政権延命や党利党略を優先した「大義なき解散」に対して、厳しい批判が浴びせられる背景にはこうした構造があります。