節分の日にその年の「恵方」を向いて太巻きをかぶりつくと、願い事が叶い商売繁盛や無病息災がもたらされる。2026年の恵方は「南南東(やや右・丙の方角)」だ。歳徳神が宿るこの方角に狙いを定め、静かに包丁を入れずに丸ごと挑むのが流儀である。
食べ方のルールは極めて明快だが、譲れない約束事がある。第一に、太巻きを途中で切らないこと。縁を切らないという縁起担ぎだ。第二に、恵方に向かって目を閉じ、心の中で願い事を念じながら、途中で喋らずに一気に食べきること。途中で言葉を発すると運が逃げてしまうとされる。シンプルだからこそ、大人も子供も一瞬の静寂に息をのむ。あの緊張感こそが、この風習の醍醐味だろう。