北野映画を語る上で欠かせない代名詞「キタノブルー(北野ブルー)」は、この『ソナチネ』において頂点に達したと言っても過言ではありません。ロケ地となった沖縄の海や空、薄暗いコンクリートの廃屋、夜の帳が降りる瞬間の群青色が、冷徹なカラーコレクションによって統一されています。
南国の沖縄を舞台にしながら、一般的な観光映画のような「ギラギラとした暖色系の太陽」を徹底して排除し、どこか死の冷たさを帯びた蒼茫たる光で満たした映像設計は、撮影監督の阪本善尚と北野監督の徹底した美意識の結晶です。
そして、この青の世界に息を吹き込んだのが、作曲家・久石譲によるサウンドトラックです。『Sonatine I〜Act of Violence』に代表されるメインテーマは、ミニマル・ミュージックの手法を用いた幾何学的で透明感のある電子ピアノのリフレインが特徴。劇伴音楽として感情を煽るのではなく、登場人物たちの感情の欠落と、いつ途切れるかわからない命の儚さを静かに際立たせ、映画音楽史上に残る名盤として評価されています。