ネット上には「福祉事務所のミスで支給日が遅れた」「嫌がらせで止められた」といった真偽不明の情報が散見されます。しかし、公金の支出管理において行政が個人的な感情で支給を遅らせることはあり得ません。生活保護の支給日が遅れる理由には、明確な法的手続き上の原因が存在します。
最も多い原因は、「収入申告書の未提出・提出遅延」です。生活保護受給中にアルバイト、日雇い労働、年金受給、親族からの仕送りなど、何らかの収入があった場合、受給者は毎月所定の期日までに福祉事務所へ「収入申告書」および給与明細などの証明書類を提出する義務があります(生活保護法第61条)。
収入申告書が出されないと、福祉事務所は当月の保護費(最低生活費から収入を差し引いた差額)を法的に正しく算定できません。提出が締め切りを過ぎて遅れると、振込データの電送手続きに間に合わず、「支給保留」の措置が取られます。この場合、窓口へ申告書を持参して確認が取れるまで、保護費は口座へ振り込まれません。
二つ目の原因は、「初回申請時の決定遅延」です。生活保護を新規に申請した場合、保護の可否は申請日から原則14日以内(特別な理由がある場合は最長30日以内)に決定されます。初回の支給日は定例支給日とは異なり、決定が出た直後に随時払いで支給されるため、最初の入金までは2週間から1ヶ月程度のタイムラグが生じます。
三つ目の原因は、「ケースワーカーとの面談拒否や指導指示違反」です。正当な理由なく定期訪問を拒否し続けたり、就労指導に従わなかったりした場合、生活保護法第62条に基づき、保護の変更・停止・廃止の手続きが取られることがあります。突然入金が止まったように見えるケースの大半は、事前の指導や文書通知を放置した結果です。