万俵財閥の頂点に立つ阪神銀行頭取・万俵大介を中心に、一族の相関図は常に複雑怪奇だ。妻・寧子を差し置いて万俵家の実権を握る家庭教師兼愛人・高須相子の配役は、歴代どの作品でも大きな見せ場となる。映画版の京マチ子、TBSテレビ版の鈴木京香、WOWOW版の内田有紀と、いずれも艶やかさと冷徹さを兼ね備えた名優たちが演じ切った。
次男・銀平の屈折した心中を表現した山本耕史(2007年)や藤ヶ谷太輔(2021年)の好演も見逃せない。一族の栄華を維持するために仕組まれる「閨閥結婚」の犠牲となっていく子供たちの苦悩が、豪華キャストのアンサンブルによって重層的に表現されている。